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マイジャーナル / 2004年7月〜8月
The International Jazz Festival & Workshop in Poland
みなさんこんにちは。

今年の夏はいつもより長く続いたおかげで大いに楽しむことができました。天気はいつも素晴らしく、こんなにいい思いをしたワーキングホリデーは今まで無かったのではないか、と思えるほどです。水泳やダイビング(私の大好きなスポーツです)など、夏ならではのアクティビティを私自身楽しむ機会があまりありませんでしたが、今回は本当にたくさんの地を訪れることができました。それに忘れてはいけません、たくさんの音楽活動もできました!

at JZ Brat Live7月は私の最新アルバム「ノン・ストップ・トゥ・ブラジル」のリリースとその記念ライブ、スィングジャーナル誌のゴールドディスク賞の受賞などで、興奮のうちに始まりました。特筆すべきものといえば渋谷「JZ Brat」で行われたCDリリース記念ライブ。これまで東京で演じてきた中で最高のブラジリアンリズムに乗って歌うことができたと思います。ピアノがパウロ・ゴメズ、キーボードに大石学、ベースが納浩一、ギターは小畑和彦、サックスは藤岡雅裕、パーカッションにはフランシス・シルバ、そしてドラムスにトミー・キャンベルという豪華な布陣!更には柳川ひろ子が率いる弦楽アンサンブルが加わり、色彩豊かなハーモニーが実現し、忘れることの出来ない宵となりました。ダイナミックで躍動感溢れるサウンドと同時に、「Acaso」や「Anos Dorados」などの感動的で情熱的なスペイン語のナンバーも加えて親しみやすいロマンチックな雰囲気をも醸し出しました。今回のプロジェクトは、私の自分の夢でもあり誇りに思っております。ライブに聴きに来てくださった皆様方、そして私の最新作の成果に暖かく応援し続けて下さっている全ての方々にお礼を申し上げたいと思います。

in London興奮が覚めやらぬ中、私はヨーロッパ旅行への準備の為、荷物をまとめるという作業に追われました。ヨーロッパへ行って自分のギグをしたいという夢がついに叶いました。もちろん観光で訪れるというのは簡単だったわけですが、いつかここに自分の音楽を表現できるチャンスがきっとくるような気がしていました。7月半ば、私は東京から中継地のロンドンに飛び、そこからワルシャワに行き、そこで一泊しました。2つの大都市を見て興奮を抑えねばなりませんでしたが、帰りに再び寄ってみる事にしました。

私の最初の旅の日程はポーランドのクラコウという都市で、私の親しい友人で、地元生まれでもあるヤン・ヤーツィックさんが空港に出迎えてくれました。ヤンさんはピアニスト、および作曲家、そして教師でもあり、25年に渡りアメリカやカナダで幅広く活躍されてきました。ボストン在住のころは、同じくボストンを拠点に活動している音楽家達と共に1980年から85年まで、バークレー音楽大学でハーモニーと作曲について教えておりました。彼は現在、作曲活動と演奏活動、およびマックギル大学の音楽学部の教授として教師としての仕事を別々にこなしていらっしゃいます。

彼に初めて会ったのは私がカナダのモントリオールジャズフェスティバルで共演した時です。後に日本で私のアルバム「A Time for Love」のプロモーションツアーで再び共演しました。そして、それ以来約2年ぶりに彼からポーランドへのお誘いメールが来たわけです。これがきっかけでインターナショナル・ジャズ・フェスティバル イン・クラコウへの出演と、そこのワークショップでの教師の仕事をする事となりました。

in London私のクラコウに対する第一印象はひとつの畏れと驚きでした。重厚な歴史が織り成したこのユニークな街は、なんと表現すればいいのか分かりません。街を取り囲む壁から一歩踏み入ると、そこには何百年も前からある歴史的な街のシンボルの数々、中世を思わせる多くの建築が列を成し、それはまるでタイムスリップしたような感覚でした。ルネッサンス期、クラコウは偉大な芸術家、作家、建築家や音楽家たちが集まった街で、街中にはそれを感じさせる様々な時代様式の歴史的建築遺産が見られます。人の魂を感じさせる雰囲気を持った、今もなお生き続けている街なのです。

市の中心はマーケットスクエア周辺で、こちらはイタリアのベニス市内にある聖マルクに次ぐ、ヨーロッパで第二の規模を誇るというスクエアです。そこには700年もの長い年月営業を続けているショッピングモール「Cloth Hall」があります。私はそこを歩いていたら、私の写真が大きく写った今回のフェスティバルの宣伝ポスターがたくさん貼られていて嬉しくなってしまい、つい写真を撮ってしまいました。

in LondonRadioホールでのヤン・ヤーツィックトリオとの共演は素晴らしいものでした。聴衆のお客さんは温かく、親しみ深くてとても楽しい交流になりました。ヤンの音楽は非常に高い成熟度があり、一緒に演奏をした私にとっては、とても心地が良かったです。これも一つの音楽的冒険であり、素晴らしいひとときにとても楽しい思いをしました。また、そこでは、広い世界に出て自分を表現し認められたいと野心を抱く、おもしろいアーティストやプロデューサーに出会うことができました。この場所はここの素晴らしい音楽と文化の世界を世の中にさらに広げてゆく、大きな可能性を秘めたところだと思います。

私の次の訪問地はポーランドの主要観光地ポズナンから70キロほど離れたところにあるホジェスという小さな街でした。ここホジェスのインターナショナルジャズワークショップは、1970年以来、一流の教授達の寄与のお陰で教育の質の高さと、芸術との交流による特別な環境から多くの人の支持を受け続け、1996年からは国際化されるようになりました。

この2004年ジャズワークショップに今回招待されたことは非常に光栄でした。教える為に来ましたが、また学ぶ事も出来て、大変意義のある事でした。毎日が発見の連続で、ここに全てを記すのはとても無理ですが、生徒達(ほとんどがポーランド人、一部ドイツ人)に会えたのはとても楽しかったです。それぞれの個性に合わせて才能を引き出す作業はとても喜ばしいものでした。

まず日曜日の午後に到着、まず私はキャンパス内をいろいろと案内されました。その夜、生徒達と教授メンバー、その他技術者やスタッフとの合同集会が開かれ、続いてすぐにジャムセッションが行われました。先生紹介を音楽の形で表現しようというわけです。私もいい第一印象を与えられたのでしょうか、歌った後に生徒達が大いに盛り上げてくれたおかげで大きな自信が持てました。他の音楽家とも、それぞれの音楽を聴いて交流でき、絆が出来たことは素晴らしい体験でした。それは本当にモチベーションを揚げる素晴らしいセッテングで自分もそこに居れたことは幸せでした。

クラスの殆どがリズム楽器と管楽部門で、ボーカルクラスは毎日午前11時から1時までの午前の部をクラス、お昼休みを挟んで4時からそれぞれのリズムセクションと一緒に練習をします。毎晩、先生たちは自分で選んだバンドメンバーと共にそれぞれのショーを行います。その後、決まってジャムセッションとなり、いつも夜中をこえてしまいます。終わることのない音楽の競演でした。

Show_FridayNight町の人々全体が歌っている様なそんな雰囲気があるからかもしれませんが、私のショーは金曜日に組まれておりました。会場は満員!このとき私はバンドメンバーに自分のクラスのリズムセクションを選びました。まだ若いですが、才能溢れた、将来有望な音楽家達です。彼らは、はち切れんばかりのエネルギーで疲れ知らず。私はこのワークショップのリーダーであるレザック・ザーロ氏にサックスのソロをお願いし、ヤン・ヤーツィック氏にバラードでピアノを弾いてもらうことにしました。もう素晴らしい限りでした!特に最後の曲で生徒にステージに上がってもらい、サマータイムを共に合唱したアイデアは先生達にも好評で全員に褒めてもらえました。

週末は、湖畔で選ばれた何人かの生徒達とのコンサートを開き、その後とても楽しいバーベキューパーティが行われました。その後数日かけてワークショップのファイナルコンサートの準備に強化トレーニングを行いました。大変なものでしたが、毎日が楽しみでした。いつも生徒達、これから発掘される才能まちわびる特にポーランド人の音楽レベルの高さに日々驚かされました。

ファイナルコンサートは2晩かけて屋外の円形劇場で真夜中を越えるまで行われました。幸運なことに両日ともに天気に恵まれ、第1夜は18のグループが、第2夜は14グループがパフォーマンスをしました。私の生徒達は一緒に座ってお互いを励ましながら、それぞれが最高のソロパートを熱唱しました。最後のフィナーレで「This Little Light of Mine」のアレンジ曲を皆で大合唱したときは最高潮に達しました。私たち全員の気持ちが聴いている人にも伝わったのでしょう、ディレクターがわざわざ来て、私に大きく目を見開きながら「あなたがこの子達にここまでしてくれて、私は幸せで大変影響を受けました」と言ってくださいました。一時一時が素晴らしく、こうして音楽の魂が全員を繋げてくれたことそのものが感動的で、もはや誰が誰よりも上手かなどというようなことは意味がないものになってしまいました。

Show_FridayNight生徒達は最後に大きなハグをくれて、私を誇りに思ってくれていると言ってくれ、何よりのプレゼントとなりました。なんて素晴らしい気分でしょう!事務局長の方は、正式に来年のワークショップに招待してくださいました。私が日本に帰って事務所でスケジュールチェックしなければならない旨を伝えると、みんな口を揃えて毎日でも電話してくれると言ってくれたのです。Great!! ホジェスワークショップは、最後に教授メンバー達の最高のパフォーマンスで幕を閉じました。会場の拍手喝采は終わりなく響き渡りました。

この素晴らしい体験を通して、先生としての自分の可能性を広げることが出来たのはもちろん、なにしろミュージシャンとしての幅が広がったということが大きかったと思います。「教える」ことは、今までと全く違う視点を発見させてくれますし、そこから多くのことを学ぶことができます。特に私の同僚、教授たちの知性溢れる色々な考え方を交換できたことは有意義で楽しいものでした。本当に素晴らしい人たちばかりでした!

最初は違和感があったというのに、あっという間に時がこんなに早くも過ぎていくなんて信じられません。今回は大変な仕事でしたが、その体験はそれだけに大きな充実感が得られました。この感動の思い出は、私の心にこれからもずっと残っていくでしょう。今後さらなる出来事を前に、今回大きな扉が開かれたのかもしれません。
 
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